ケンチク

牛久大仏に見守られながら一級建築士やってます。

イロづく

住宅は住んでから見える景色がたくさんあります。

明らかに狙ったものと偶然生まれたもの。

大抵偶然生まれたものの方が、アートっぽくなくて、すんなりいいなと思える気がします。

 

でも、設計していると結構狙って色々と盛り込みたくなります。

この写真はその中の一つです。

 

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いろづく

この光は朝の1時間くらいの間だけ見ることができます。

住んでる人だけが見ることができる光って何となく贅沢な気がする!

そんなことを考えながら設計してました。

 

光に色をつけることがこれまでやったことが無かったので、模型は1/50だけで終わらずに1/20までつくって検討しています。

よく頑張ったと自分を褒めたいくらいですが、住宅が完成した今となっては模型が大きすぎて置き場がありません。。。

しかも、子供にどんどん破壊されていきます。

 

普段の日常が、時間帯によって特別な日常になる。

そんな住宅を今度もつくりたいなと思い、内部空間を日々妄想しています。

(お施主さんから返事待ちでも、妄想は止まりません。。。)

 

紅葉とかを意識して、秋に投稿すればよかった。。。

 

take

 

住宅

住宅のお話をいただきました。

仕事になるかは分かりませんが、住宅を考える時は必ず自分が住みたい家を考えます。

(施主が奇抜な考えを持っていれば話は別ですが。。)

 

自分が住みたいと思える家でなければ堂々と説明できないので、自分で納得できるまで考えます。

そうすると、大概はどこに何をしまうかまで想定して、自分でその住宅内での生活をイメージする為、頭の中では全体構成だけではなく、細かな部分まで完成しています。

 

提案時にそこまで考えてしまうと、その後の変更が大変な気がしますが、実は変更も大歓迎です。

というのも、細かな部分まで考えてしまっていて、その先の設計時において可能性を探る行為を怠りがちになる事が多い為、どんどん問題点をぶつけてもらった方が、設計中の検討が継続し、より良いものになっていきます。

(設計する側としてはとっても疲れますが、良いものができることは大歓迎です。)

 

そんなこんなで初回の提案をしてきた結果がどうなるか。。

とりあえず結果を楽しみに待っていたいと思います。

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模型

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魔法のように

大分更新を怠りました。

 

無理せずに細々とでも続けられればと思っているので、無理しなかった結果、更新せずに毎日が過ぎていました。

 

ということで、久しぶりの記事はとても信頼しているコーティング屋さんについて書きたいと思います。

 

初めて出会ったのは約2年前。

とても大きな改修工事の設計段階において、フローリングのリフレッシュと石のコーティングのスペックをどの程度にするか検討をしていた際に紹介を受けました。

 

設計の段階で試験施行をしてもらった上でスペックを決定したいと相談を持ちかけたところ、唯一快く試験施行をしてもらえたのを今でもはっきりと覚えています。

 

そして、塗ったことが分からないようにして欲しいという、おかしな要望に対しても快く新しい工法を作りますと言ってくれたのもとても印象的でした。

(当初は、コーティング材を塗ったら濡れ色になるところを濡れ色にするなという要望を実現してもらえるとは、思っても見ませんでした。)

 

実際に現場が始まり、細かな色味の調整など、サンプル作成や試験施行を何度も繰り返し、理想的な仕上がりを実現してくれました。

 

この時、この人は何でも叶えてくれる魔法使いみたいな人だと思いました。

 

そして、大きな改修の現場が竣工した後、自宅のダイニングテーブルのコーティングに異変が起こりました。

ダイニングテーブルはデコリエという左官材で天板を仕上げ、メーカー標準品のデコリエトップというコーティングをしていたのですが、一部剥がれたり、ベタついたりと、とてもテーブルとして使えない状況になってしまい困り果てていた時に、「あの人に相談しよう」と例の魔法使いのようなコーティング屋さんを思い出しました。

 

そして、相談をしたところ下地のウレタン塗装まで施行しておいてくれれば、トップコートを施行してくれることになりました。

 

理想の仕上がりは艶消しの天板。

その為に、自宅を施行してくれた工務店に艶消しのウレタン塗装を塗って欲しいとお願いし、塗ってもらったところ、何を思ったのか艶ありのウレタン塗装を塗ってしまいました。

 

そこで、コーティング屋さんに相談です。

「艶ありの塗装を塗ってしまったんですが、トップコートで艶消しにすることできますか?」

「もちろんできます!」と一言。

この人は何でも叶えてくれるんだなと、感動しました。

 

そして、いざ施工の日。

 

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コーティング1

30分程度でコーティングが終わりました。。

特殊なコーティングだと思っていたので、もっと時間がかかることを想定していたのですが、あまりにもあっけなくコーティングの作業が完了し、「そんなに簡単なんですか?」と聞いてしまい「簡単です。」と一言。

 

ついでに、駐車場のコンクリートもコーティングをしてくれるということになっていたのですが、当日は雨で施行できず、DIYでお願いしますと、材料と道具をもらいました。

 

そして、レクチャーも兼ね、雨に濡れないところを塗ってくれました。

とても簡単に。。。

見た目は塗る前と全く変わりません。

 

しかし、水をかけると。

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コーティング2

恐ろしいほど水を弾きます。

奥のコンクリートが塗っていない部分なので、違いがはっきりと分かると思います。

この、水を弾く状態は1ヶ月から3ヶ月程度で落ち着いてくるとのことですが、コーティングの性能はずっと続くようです。

 

こんな材料があると知っていたら、自宅の施工の時にもっと使ったのに。。

と後悔する程すごいコーティング材です。

 

 

ここまで、詳細を記載していませんでしたが、このコーティングはガラスコーティングです。

表面硬度も非常に高く、耐久性も良い。無機質なので、汚れにも強い、とても優れたコーティングです。

コスト的にもうまく計画すれば採用できるくらいの単価です。

 

ガラスコーティングの売り込みみたいな記事になってしまいましたが、困ったときは、また相談をしたいと思います!

 

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とうとう設置されました

先日とうとう表札が設置されました。

 

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表札

 

実はこの表札の打ち合わせは自宅の着工前からスタートしていたので、初回打ち合わせから設置まで、約2年掛かっています。

(自宅の工期が長かったということもありますが。。。)

 

表札を制作するにあたり、時間が掛かってしまった要素として、「建築設計事務所」という文字を取り外しできるようにしたことが上げられます。

文字をしっかり見せようとすると、強度が出にくく、強度を考えると想像しているものと大きく印象が変わってしまう。

結果、なかなか制作に取りかかれずに、設置が遅れていました。

 

難しい課題でしたが、現場で何度も一緒になったサイン屋さんにお願いした為、打ち合わせを繰り返すうちに、とうとう制作方法が決まり、設置することができました。

(このサイン屋さんは打ち合わせがキャッチボールになるので、いつも助けられています。)

 

表札のイメージとしては、コンクリートという力強い素材に設置される為、ステンレスのビーズブラストで繊細ながらも主張するような表札になることを意図しています。

 

これからは帰ってくる度にこの表札を見て、気を引き締めて頑張っていこうと思います。

 

ちなみに夜はこんな感じです。

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これまではインターホンを照らしていた照明が本来の役割を果たし始めました。

 

あとは植栽を植えれば完成なんですが、なかなか手がつけられません。。。

 

 

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現場打ち合わせ

1日中打ち合わせでした。

 

朝から現場に行き、現場に設置する陶板の打ち合わせ。

その後、外壁の調査結果の確認。。

そして、サイン打ち合わせ。。。

 

朝8時30分に家を出て、帰ってきたのは19時30分。。

その時点で、今日やるべき作業は一切出来ず。。。

 

ここまで時間を掛けたら、出来が悪かったら割りに合わない!!

 

と思いますが、監督さんが丁寧でその性格が現れた現場はとても仕上がりが良いです。

(はっきり言って頭が上がりません。)

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現場状況

竣工まではまだまだまだ先が長いですが、綺麗な建築になるように頑張り切ります!

 

 

 

今日出来なかった工事費の算出は明日やる事にします。

夜にやって計算ミスしたら、予算取りに影響してしまうので。。

明日も頑張ろ。

 

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距離感

自邸のLDKには段差がついています。

段差なんてバリアフリーが求められる時代と逆行しているという感じもしますが、得られるものの方が大きいと判断しました。

 

図面では分からないし、説明しだすといつ説明が終わるのか分からないくらいなので、説明することもあまりないのですが、資料を作成する機会があった為、ちょっと記事にしてみます。

※長くて飽きたらごめんなさい。。

 

いつも建築の始まりは敷地の中で一番良い場を探します。

将来的なことも色々と想定しながら、敷地の様々な場所に立ち、そこから見える景色、そこで感じる環境をどうやって活かすかを考えます。

 

今回は、住宅地の中で隣地が空き地でした。

現在は空き地でも将来的に住宅が建つことを想定し、最も良い場を探したときに見つけたのが一番道路側の場でした。

(道路側にリビングを計画すれば、道路の伸びる方向はずっと視線が抜けるという環境です)

 

しかし、要求事項で駐車スペース3台という条件があった為、道路側にリビングを持ってくると駐車スペースが取れないという問題が発生しました。

 

そこで、リビングを上げてしまい、リビングの下に駐車スペースを確保してはどうかという発想に行き着きました。

 

リビングを高くすることで、将来的な採光と通風も確保することが出来ます。

その瞬間にリビングに設けたバルコニーの下を通り玄関にアプローチしていく光景が浮かび、そこからリビングまで引き込んでいくようなイメージが頭の中で完成しました。

 

ちなみに、最初に頭の中に思い浮かべた光景と完成したアプローチは全く一緒です。

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アプローチ

※樹木が未だに植えられていませんが、ちょっと狭いところを通ってアプローチするイメージです。

 

リビングが高くなることで、玄関を高くしていますが、実は道路と高低差があり、近隣の住宅も同じくらい玄関が高くなっています。

みんなには段差、段差と言われますが。。。

 

そして内部空間ですが、2階建ての計画とすることが前提条件としてあった為、必然的にリビングは吹抜けとなります。

しかし、住宅地ということもあり、外部の景観はさして良いと言えない状況の中、吹抜けという開放的な空間を設けてしまうと外部と内部のバランスが取れないと考えました。

(内部空間が充実しすぎて、外部への意識がなくなってしまうのではないかと考えました。)

 

そこで、リビングの環境はあくまで高天井という環境とし、開口部も絞ることにしました。

メインの開口は二つ。

一つは安定した光を得るための北側の上部に設けた大きな開口。

もう一つは外部の環境を取り入れる為の高さを抑えた横長の開口。

サブとして、空への視線を抜くための開口と自然光に色をつけるトップライト。

 

明るく開放的な空間ですが、壁面を多く残すことで落ち着いた環境も両立しています。

ちなみにリビングの高天井を、サッシを多用した吹抜けと同じように開放的に感じるように、リビング手前の通路(ダイニング部分)は開口部をあまり設けずに暗く低く計画しました。

リビングに辿り着くまでの環境をリビングと対照的な空間とすることで、明るく開放的な感覚を強調した感じです。

 

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ダイニングからリビング

適度に壁面が残ったリビングには窓際やテレビ台のところにくぼみをつけて、自然と座りたくなるような設えとしています。

また、リビングのバルコニーにはアプローチ部分に植えた樹木が伸びてきて、自然と外に目線を誘導し、そこは敷地内で見つけた道路側に視線が抜ける一番良い場となっています。

 

リビングに行くまでに設けた段差も室内空間に活かすために色々と検討をしています。

ダイニングテーブルをキッチンに隣接して造作とすることで、段差を利用して掘りごたつのように座ることが出来ます。

また、キッチンとリビング、ダイニングの床高さを変えることで、各々の場で過ごす家族の目線を揃えることが出来ます。

目線が揃うことで、距離は離れても意識的な距離が縮むように考えています。

まとめると、「段差で生まれた適度な距離感」ってとこです。

 

特に小さな子供とキッチンで料理をする大人の目線が近くなることで、本来であれば「見守る側」と「見守られる側」という立場になるところを、お互いにコミュニケーションをとることができる距離感に整えることが出来ました。

子供が料理している手元を楽しそうに見ながら、料理をしている妻に話かけているところを見て、段差による不便さよりも段差によって得られたものが大きかったと感じています。

(キッチンの物でイタズラをしてしまうというデメリットはありますが。。。)

 

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断面パース

 

紹介したいことはまだまだあるのですが、これ以上書くと読むのも大変になってしまうと思うので、この辺にしときます。

(どの場所も考え抜いて計画していて、説明が止まらなくなりそうなので、興味がある人がいたらまた続きを書きます。)

 

そんなこんなで、改めて見るとよく出来たなと思っています。

そして、次に設計する機会があれば、もっと良いもの作ろうと思ってます。

設計してると、考えすぎて疲労感がすごいことになりますが、楽しいので良しとします! 

(自邸を設計してる時は、考えすぎていつも頭痛かったな。。。)

 

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爽やかルーバー

監理中の現場でとっても爽やかなルーバーを設置中です。

 

アルミルーバーとカラーガラスを組み合わせており、ルーバーにカラーガラスの色が映り込みます。

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ルーバー

ちなみにルーバーのピッチはランダムに見えますが、フィボナッチ数列を利用して一定のパターンを繰り返しています。

こうすることで、開口が大きい部分ができて、囲われた感覚のなかに抜けるような感覚を組み合わせることができました。

ちなみ、一番感覚が広いところは法律的に必要な非常用進入口のサイズをベースにしています。

 

このピッチにたどり着くまでは、色々と検討しながら、決定打が内容な感覚に囚われながら、スケッチと模型での検討を繰り返していました。

 

しかし、このピッチに辿り着いた時は、図面を作成した時点で、『これで決まりだ』という感覚になりました。

 

模型でも確認し、現場でモックアップで確認し、実際に設置されていくと、やはりこだわって良かったなと思います。

協力していただいた施工者の皆さんは「とっても苦労して」設置までたどり着いていた為、本当によく出来たと思います。

感謝しかありません。

 

足場が取れて、ルーバーの全容が見えてくるのがとても楽しみです!

 

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